ワン アンド オンリー

2024.4.22

ワン アンド オンリー 特設ページ

作家自身が選ぶ、渾身の一作と最新作をご紹介する『ワン アンド オンリー』

“唯一無二の表現”
“かけがえのない存在”
+“特別な作品”


伝統を踏まえ、今様の美を掬い上げ、
新時代を創るアーティストたちをご紹介します

《展覧会情報》
ギャラリー桜の木 軽井沢
2024年4月26日(金) - 5月27日(月)
10:00-18:00 *最終日16:00まで 火・水・金 休廊  GW無休

小倉亜矢子

「何故に知るこの季この朝」 日本画  90×180㎝

「何(な)故(ぜ)に知るこの季この朝」

朝日が昇る前から朝顔は花開き始めます。

つぼみの時は紫がかっていた先端の色がひらいたときには青となり、そして日が高くなり始めて花がしぼんでしまうと花がらはまた紫っぽい色になります。

咲いている途中でも日があたり始めるとその青もだんだんと赤みがかっていくのがわかります。

朝顔の青はその一瞬にしか見られない、本当に不思議な色です。

 

美しさ、というものの正体は何だろう、と常々頭のなかでは考えを巡らせているものの実際の花々を目の前にすれば何という考えもなく、ただただその存在のあり方に目を奪われるのであり、その姿かたちを画帳に写すという衝動の根源はどこにあるのか、という問いも描き終えてからの思索に過ぎず、描くという行為(写生)がただただ衝動のただなかにあったことを思うとき、本作のようにタブローに仕上げるときに何を重要視して構成していくのか、という視点が自分が何を美しいと考えているのかの答え、またはひとつの判断基準となるものなのだろうと考えています。

しかし、それも言葉で表されるものではなく、花の連なりや空間のなかでの動きが心に迫ってくるような生き生きとした感じ、心が躍るような感覚を生みだしたとき、美しさとは身体感覚に直接訴えかけてくるものなのだ、という実感を持つことがあります。

いずれにしてもこの植物たちの在り方を思うとき、自然の流れのなかで力むこともなく静かに花開き、一瞬の鮮やかさを見せてのち実を結び次世代へと命をつないでゆく、その滞りなく静かに脈打つ命の流れのなかの一瞬に、自分という感覚器官をもつ存在が立ち会い、何か、感動といえるようなものを受け取ったという不思議さもまた強く意識されてくるのです。

みずからのときを知り滔々と流れる時間のなかで命のちからを全うするすべての事象に対する畏敬、不可思議さにこのタイトルといたしました。

小倉亜矢子

 

小林海来

「無1」 ミクストメディア  34×44cm

 

「無1」

この作品は銅を絵の具のように使い墨を闇のように使いました。
普通の日本画では箔は後ろに回り背景としていつも使われますが、今回は一つの存在としての書を前に持って来ました。

書と西洋構図をテーマにしてる私としてはとても面白いものができたと思います。
擦れ、うねり、半月、建築、そして闇、私の作品の中でも闇や無はとても重要です。闇は単なる闇ではなく深み、流動性があります。しかし闇です。そこに線が散らばって重さや構図をカルダーのごとくバランスを保っています。

小林海来

 

 

「青・構造」ミクストメディア 33.5×53㎝

「無2」ミクストメディア33.8×53㎝

 

 

 

 

 

 

 

アトリエの様子(スペイン)

↓こちらの動画は2020年12月制作です

 

 

阪本トクロウ

「草木」 アクリル/高知麻紙  30×30㎝

日々の観察と発見が私の作品を構成しています。

 

作品は日常生活の中から生まれてきていて、
どこにでもあるもの、自然に存在しているものや人工の造形物の面白さを描いています。
現在の自分の視点と興味を正直に表現したいと思っています。
視点を意識すると、森羅万象の全てが面白く感じます。

阪本トクロウ

 

「フロート」 アクリル/高知和紙  41×41㎝

「桜」 アクリル・岩絵具/高知和紙 30×30㎝

 

アトリエにて制作風景

 

↓こちらの動画は2021年7月制作です

 

 

佐々木理恵子

「光にふれるⅥ」岩絵具・銀箔・水干/雲肌麻紙 50号

「光にふれるⅥ」

この作品は大きな桜の木の内側からの景色を描きました。

モノトーンにする事でより鮮やかな初夏の煌めきを表現したいと思っています。

一人で大きな木の幹にもたれ、鳥の声と微かな風を感じ、
ゆったりとした葉に囲まれる心地良さを感じていただけると嬉しいです。

 

佐々木理恵子

 

 

 

↓こちらの動画は2020年7月制作です

 

 

橘京身

「發身」 墨/和画仙  165×106cm

 

「發身」

あばき、はなち、すすむー。
ものごとを始めるときに沸き上がる想い、集中、それを受け、始まりの時に鳴り響く音とともに、心ではなく、身体そのものが弾ける様を表現。

“ことのはじまり”を、辺り一面に響き渡らせた今その一瞬に、己の内と外、境の消えた空間の中で、昂揚感に包まれる“發身”を感じて頂けたらという想いで制作しました。

 

橘京身

 

↓こちらの動画は2020年6月制作です

 

野依幸治

「1912年4月15日」 油彩、金箔、砂/キャンバス  M40号

「1912年4⽉15⽇」

1912年4⽉10⽇、豪華客船タイタニックはイギリス・サウサンプトン港からアメリカ・ニューヨークに処⼥航海へと出航した。

だが4⽉14⽇午後11時40分、航海の中で氷⼭と衝突し、およそ2時間40分後の翌⽇15⽇午前2時20分に沈没した。

タイタニックは「不沈船」とも⾔われていたが、この海難事故により船体は真っ⼆つに折れ、垂直になり沈んでいった。

この絵には、とある仕掛けを持つ折り紙の展開図が描かれているが、この事象に重なる構造を持ち合わせると感じるのです。

野依 幸治

 

アトリエにて制作風景

 

↓こちらの動画は2020年7月制作です

 

 

 

田中みぎわ

「つきしぐれ」 墨・胡粉/雲肌麻紙 23.5×21.5㎝

「つきしぐれ」

春の宵

忍び寄る足音のように

雨音がそっと地面を叩く

春を促す

あたたかい雨だ

野山には雨霧を透かして

ほの明るい月の光が広がる

目をとじて

隣人の訪れのような

懐かしさを感じている

「永遠」墨・胡粉/石州楮紙 18.5×52㎝

「永遠」

木々を吹き抜ける風

流れてゆく光る雲は

いまこの瞬間が永遠だということを知っている

いまこの瞬間が永遠だということを唄っている

夕暮れの透き通った空に溶けるとき

私たちは時間を失い

永遠へと誘われる

「賛歌」墨・胡粉/石州楮紙 18.5×52㎝

 

「月のいのり」墨・胡粉/杉原紙 12.5×30㎝

「菊池川スケッチ1」

「菊池川スケッチ2」

「月のいのり」

ほのかな月あかりを頼りに

旅人が

道を辿っていけますように

足もとをやさしく

照らしてくれますように


夕暮れをスケッチしている様子

 

↓こちらの動画は2020年6月制作です