Jean Marie Zacchi  vol.1  “赤い点”

2023.11.10

Jean Marie Zacchi vol.1 “赤い点”

*こちらは2020年8月に掲載した記事です

フランス・コルシカに生まれ、12歳から絵画を始める。19歳でパリのル・サロンに初出品。フランス画壇を牽引し、国家功労勲章、レジョン・ド・ヌール勲章、芸術文化勲章を受章。画業60余年の今現在も前進し続ける、ジャン・マリ・ザッキの「アトリエからこんにちは」です。

「グリーン Verdure」 
油彩 50cm×50cm

 

 

毎日朝8時から夜7時半までこのアトリエで描いているというジャン・マリ・ザッキ。自身の足跡と共に、巨匠たちとの思い出、フランス画壇の歴史が詰まった空間。


アトリエの本棚には思い出の数々が並ぶ。

ザッキの色

オブジェのような絵具の塊


まるでオブジェのような絵具の塊は、20年ほど前からの絵具の積み重なりで出来上がっている(現在進行形)。描き始める前にすべての色を出す。何故なら、描いている時にインスピレーションが湧いた次の色を逃さないためには、チューブから出していては間に合わないから。描き始める度に絵具は重なっていき、作品の中には新しい色が生まれる。

鑑賞のポイント

赤い点

「記憶の扉 Porte du souvenir」油彩

「小さな点なのですが、皆さん気がついて『どうしてこんな所に赤い点があるのですか?』と聞かれます。作品にZACCHIとサインをする時に、Iで終わりますから必ず・点が必要になります※。もし最後に・点を付けると、全体のバランスが崩れてしまうので、絵の中の重心に・点を付けるのです。作品の大きさにかかわらず、必ず描いています。赤い点を打った場所は、そこにいったん焦点が合い、そのあと全体が見えるようになる効果もあります」

※フランスではLの小文字とIの区別が出来るように、大文字でもIに点をつけることがある。

半抽象半具象 その日の感性で自由に観る


「例えば、私が花を見て最初に印象を受けるのは形ではなく色です。私はいつもペインティングナイフで色を載せていきます。詳細は描きません。私の絵は完全な写実ではないので、ご覧になる方には、それぞれ日によって、光によって、観るたびに違う発見をして頂けるかもしれません」

「描いているものはあるけれど、そう観えなくてもいい」というザッキの作品は、半分は観る人のその日の気分に委ねられている。洋梨がそれ以外の何かに観えてもいい、花束がそれ以外の何かに観えてもいい。
「観る人に何も強要したくない。想像力を開放して自在に観てください」

絵具の濃淡

「ホットタイム Les heures chaudes」油彩

日本で体験した書を通じて、筆の自由な動きや墨の濃淡の表現にとても興味を持ったという。それは、ある部分は透明、ある部分は不透明な色彩表現として、作品に取入れられている。

3つの質問

Q.作品のテーマについてお聞かせください。
A.私のことを知って頂くためにお伝えしたいことは、皆様に心地よさとか開放された空間とか、何か良い印象を与えるもの、歓びを与えるようなテーマを選んでいることです。例えば景色でいうと、自分がそこにいて幸せであるような場所を選んで描いています。私の絵を飾って下さっている方から、「朝仕事に行く時には、また頑張ろうと思うし、疲れて帰って来ても、あなたの絵があるだけで元気になる」とメッセージをもらいました。私の絵でそういうふうになって欲しいと思って描いています。

Q.軽井沢へは2003年の個展以来、5回お越し頂いています。印象などお聞かせください。
A.個展のために初めて軽井沢を訪れた時、ちょうど紅葉の真っ盛りでした。赤い色にとても衝撃を受けました。フランスは黄色に色づく葉が多く、あまり赤く色づくことがありません。私はそれまでずっと、ブルーとグリーンの世界で絵を描いてきました。他の色で描けと言われても、人は急にはそのように出来ないものです。画家にとって新しい色を使うのは難しいことですが、紅葉の赤い色があまりに素晴らしかったので、その後そういう色を使うようになりました。はじめは自分の描き方のなかに少しづつ色を入れて行き、現在では、もういろいろな色を使っています。

「軽井沢の花束 le Bouquet de KARUIZAWA」油彩

 Q.筆を止める時はどのようなタイミングでしょうか。
A.アーティストにとって完成ということはないと思っています。どこで終えるか。それは永遠の課題です。自分のアトリエにあったら、すぐ手を加えたくなってしまいます。お客様がその作品を気に入ってお持ちくださった時、それが完成だと言えます。
描いている時は画家の眼、ギャラリーで飾られているのを見に行く時は批評家の眼で見るので、また違う目線になり終わりを見つけるのは難しいと感じます。描く時は集中しているので、疲れ切ってしまうことがあります。そんな時は散歩をしてアトリエに戻ります。リフレッシュしてから絵を眺めると、疲れた神経では分からなかった良い所、良くない所に気付くことができます。

 

 ジャン・マリ・ザッキ 作品 01〜08

5_展示の様子1
1_作品
2_額入り
3_分割上
4_分割下
6_展示の様子2
7_ななめ
8_アップ1
9_アップ2
10_アップ3
11_額アップ
12_サイン
5_展示の様子1
1_作品
2_額入り
3_分割上
4_分割下
6_展示の様子2
7_ななめ
8_アップ1
9_アップ2
10_アップ3
11_額アップ
12_サイン

ジャン・マリ・ザッキ作品01
抱きしめるように Comme une caresse

技法     油彩
制作年    2017年
作品サイズ  F10(53cm×45.5cm)
額寸     66.5cm×57.5cm×厚み5.3cm
備考     サイン有
SOLD

「大事にしているのは、色、リズム、光」重なり合う色は光のプリズムのよう。

 

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作品は、ギャラリー桜の木銀座店、または軽井沢店にてご覧いただけます。

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