中西 和   vol.2   ”秋”

2020.11.20

中西 和 vol.2 "秋"

鎌倉のアトリエに秋が訪れました。
枯鬼灯、からすうり、猫じゃらし。
第2回は、秋ならではのモチーフを描く喜び、楽しさについてお伺いしました。

「秋色」
洗い出し     43×33cm

 

 

アトリエ

私のしてきた仕事は、
「美」に「気付く」ごとに「ハイ」とうなずき、
「一礼」してきたようなもので、
これからの仕事も同じように連ねていくにすぎません。

中西 和

描く道中のおもしろさ

枯鬼灯

「枯鬼灯」30×15cm

地に植わっている鬼灯は、不思議なことに、袋状の萼の柔らかい組織は溶けて葉脈だけが網状に残り、レースのような状態になっていくことがある。
その自然が作り出す造形に驚く。

「よくぞこんなにうまい具合に枯れていくものだな。
われわれが勝手に枯れていると思っているけれど生きているんだね」

鉛筆で細い線を描いたり塗り残したりするのではなかなかあの表情が出ない。
ハンドグラインダーで紙の地色を削り出し、白を表現する独自の技法が、描きたいものに叶っている。
「描いている道中がおもしろい。黒い背景の場合は、真っ黒の中に最初は木の枝にサクランボのように実がぶら下がっているのを描く。そこに網を描いていくと、自分でもだまされたような気がするほど、網の中に実が入っていく。観て下さる方の目線で“いいな”とか、“おもしろいな”というのとは別に、描いている者の“おもしろさ”というものもある」

 

からすうり

「何の故か、おもしろい恰好をしている。誰に見せるつもりなのか知らないが、かわいいんだ。
からすうりとはもう長い付き合いだけれど、描いていると飽きない。
自然のものは総じてみんな“上手く出来ているなぁ”と思う。
我々よりも、蜂とか虫に呼びかけているのでしょうけれど」

 

(くさ)

「艸」20×40cm

「“麦” “稲” “ねこじゃらし” のモチーフは、描きたくて描き始めるが、『大変なことを始めてしまった』と、いつも思う。十本が百本、百本が二百本…そうやって描き、ふと手を止めて見ると、徐々に“原っぱになってきた”というちょっとした喜びがある。それが楽しみ。描き終わって、『なかなかじゃないか』と感動が醸成されていくような感じじゃないかな」

 

壺とからすうり

パネルに張った紙が、眺めているとある途中から壺にしか見えなくなってくる。
「紙が壺に化けるところがおもしろい。絵描きが考えるドラマってほんのわずかなことで、ストーリーはない。けれど、“何かになる”ところにドラマがある。だからずっと描き続けているのかもしれない」

 

 

 

 

 

 Q&A

Q1.「稲」は朱に描かれることが多いですが?

「御年」30×30cm

A. 今は相対的に比重が減ったかもしれないけれど、稲は物理的に日本人の身体をつくってきた長い歴史がある。
また、稲は古来、神聖な食べ物として信仰の対象だった。
その信仰、宗教的な部分は赤(朱)の色が表現しやすいように感じる。黒や深い茶色の背景の稲も描くが、朱の背景で描くのには、そういう動機付けがある。
日本人にとっては、これなくしては歴史がなかった、というすごい食べ物でしょうね。

 

Q2.「御年(みとし)」の意味を教えてください。

A.祝詞の中で「稲」のことを、「御年」または「奥つ御年(おきつみとし)」と言う。
ある解釈によると、稲の収穫には1年かかるところから、「年」という言い方をしたとのこと。「のぎへん」は穀物全般を表す言葉でしょう。
稲に対しては信仰というか、別格の何かを感じる。

 

Q3.毎年秋に描かれるお気に入りの「からすうり」。
もう長いお付き合いですが、それでも毎秋、実物を見て描かれますか?



A.そらんじて、すべて自分の都合の良いように描くと、やはり面白味に欠ける。
「どうしてこんなところで妙な方向に曲がってしまうのか。どうしてここにからまるのか…」計りがたいこと、上手くいかないことも含め、描くこと全体を楽しんでいきたい。

「この絵」(上図)もそう。目の前にある「壺とからすうり」を見たように、
特別の作為も加えずに描いてはいるんだけど、どこか違ったものになる。
だから面白いんだろうな。

 

 

 

 

 中西和 作品 01〜09

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中西和 作品01
枯鬼灯

技法     洗い出し
制作年    2020年
作品サイズ  30cm×15cm
額寸     43cm×27cm×厚さ4cm
備考     落款・ともシール有
価格     ¥320.000(税込価格¥352.000)※額代込みのお値段です

 

秋、自然が創り出す造形の美しさ、おもしろさ。
「よくぞこんなにうまい具合に枯れていくものだな。
われわれが勝手に枯れていると思っているけれど生きているんだね」

 

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