小林 海来  vol.1 “水と哲学とコンポジション” 

2020.12.11

小林海来 vol.1 "水と哲学とコンポジション"

スペイン・マドリッドで活躍する抽象画家・小林海来(こばやし みらい)。
西洋と東洋、哲学、科学、水の物質的感覚を主題に、わたしたちの“存在”を探る絵画、その制作現場からのメッセージです。

「無題」
ミクストメディア     22×27.2cm

 

アトリエ

 

ジョアン・ミロ、ジョアン・バルバラ、コーヒー、そして抽象画

小林海来は、水戸に生まれ、生後6カ月でスペインに移住することに。
幼少の頃から類い稀な才能を見せたことから、ジョアン・ミロの財団に特別に預けられた。

ジョアン・ミロの制作を長年支えた版画師ジョアン・バルバラ氏にアートの英才教育を施され、プラド美術館やレイナ・ソフィアを遊び場に、作曲、哲学、彫刻、陶芸、山水画を通じた美学研究を続けてきた。初個展はなんと14歳、以降マドリッドを拠点に活躍している。スペインのアーティスト人口は日本の数十倍、そこでの価値ある30年である。

始まりはいつもカフェ、コーヒーを片手に起草するという制作スタイルは知られていて、作品のどこかにコーヒーのシンボルが隠れていることも。

 

 

観る側は、ただひたすらに“純粋な感性で向かい合えばいい”のが抽象画。
ギャラリーとしての視点では、コレクターのジャッジメントが、作品に相対した際、瞬時に行われるように思う。

 

 

2014年、小林海来の絵画を日本で本格的に紹介した際には、
「ひさかたぶりに、現代ならではの深みのある抽象画に出会えた」
「ミロが好き、クレーが好き、そういう感覚で美しいと思う」という言葉をいただいている。

今回、作品の背景にあるいくつかのキーワードを、制作現場から伝えていただいた。

 

 

2020年12月 マドリッドの街から

「今年世界が様変わりして以降、マヨール広場もプエルタ・デル・ソルも、マドリッドらしい暢気な気風を潜めています。

日々、一番大事なことは何か?皆が切実に考え続けています。繰り返し、繰り返しです。僕にとっては、絵を描くことそのものです。筆を動かしながらその問いを探り、絵画に携われることに感謝する日々を送っています」

 

“存在を探る”絵画

「僕にとって“自分の存在”と“絵画”というものは、常に直結しています」

 

 

私たちが日々、目にしている現代のヴィジュアルやイメージには、
自分たちは今、どこに立っているのか?が示されている。

「自分の位置を把握することで、自らが形成されていく。
たとえば、日本にいたら”ああ、やっぱり僕は日本人なのだな”、と実感することができます」

 

 

反対にそうではないことを発見することもある。
内側、外側、思索の向こうに、スペース感覚を養い、存在を見つけること。

「抽象でも、写実でも、そういう視点を広げてくれる、それが絵画、アートの一つの研究の成果だと思います。いろいろな時間、土地、取り込んだ要素、肌感覚で必要だと思うもの。僕にとって、が、世界の色々な場所にいる方にとって、その何かに繋がったら良いな、と思います」

 

 

 

西洋×東洋 渇きと潤い

「西洋文化の中で生きていると、東洋的な表現である水、液体で質感を表す絵画が足りていないと感じます。それで、この渇きを潤すものを描きたい、と強く思うようになりました」

 


「西洋の”マテリアリズム(唯物論)”、物質的感覚のアウトプットって、けっこう“固体”で、岩、砂、石、木などをマテリアと考えているのが多いと思います」

 

 

「でも、物質は液体にも気体にもなる。東洋には水墨画や書など、“液体”による質感表現があり、そこには形象しきれないものも内包する豊かさがあります」

 

「無題」50×70cm

 

「西洋の構築美“固体”と、東洋の水の美“液体”が融合して生まれる絵画。
それは、西洋と東洋が入り混じった“自分”を表現するのに最適な形でした」

 

 

画面には魅惑的な小さな要素がいくつもちりばめられている。
世界の純粋な本質を表す小さな要素を、カフェで起草し、メモしておくという。また、「現代のコンピューター言語やゲノムデータは、神に向けて人類が織り上げた織物で、現代人の立つ大地だ」と、こちらも画面上に穏やかに散りばめられている。
そうした小さな要素と要素が画面上で両洋の眼で重なり合い、哲学するコンポジション。絶妙な均衡(バランス)と密度がみどころ。
懐かしいけれど古くはない、難しそうでもなく全く押し付けがましくない、この独特の存在感は、言語化に詰まるところ。
あえて例えると…コーヒーの薫りのよう?

「実際にコーヒーを絵の具にすること、ありますよ(笑)」

 

 

 Q&A

Q1. スペインでお育ちになられたことは、作品にどのように影響していると思われますか?

A. 自分を表現していると、日本語とスペイン語の違いというものがあり、どうしても言語の壁が生まれてきます。

9歳で絵画に出会いましたが、絵画には言語の壁がありません。だから、自然に自分の中にあるものを全てそこに詰め込むことが出来たのではないでしょうか。

 

Q2.作品の構想を練るとき、必ずコーヒーがそばにあるそうですが?

A. コーヒーは、嬉しいとき、悲しいとき、振られたとき(笑)、いろんな時に、常に僕と一緒にいます。

アトリエで画面と対話するとき、素材と遊ぶとき、そういった毎日の積み重ねが、僕にとってコーヒーに象徴されるので、自分の作品に取り入れて描くことがあります。コーヒーを飲まないと作品を描くスイッチが入らない。それくらい、僕にとって大事なものです。

 

 

Q3. 作品を制作するとき、対象とするモチーフの存在は必要ですか?


A. 作品のイメージは日常的に、ふと生まれてきます。

僕はすごく飽きっぽいので、すぐに次の作品の研究に入ります。自分の流れの中で、ですが。
新しい、今までなかった、自分の見たことがないようなものをつくるのですが、モチーフがあると、逆にそれに向かって行ってしまい、固執してしまいます。

自分を縛りつけているモチーフから離れられるように、脳をずっとやわらかくしていきたい、と思っています。

 

 

 

 小林海来 作品 01〜08

5_展示の様子
1_作品
2_額入り
8_アップ1
9_アップ2
10_アップ3
7_ななめ
3_分割上
4_分割下
11_額アップ
6_展示の様子
5_展示の様子
1_作品
2_額入り
8_アップ1
9_アップ2
10_アップ3
7_ななめ
3_分割上
4_分割下
11_額アップ
6_展示の様子

小林海来 作品01
無題

技法     ミクストメディア
制作年    2015年
作品サイズ  27.2cm×22cm
額寸     36.3cm×31cm×厚さ4cm
備考     サイン有
価格     ¥100.000(税込価格¥110.000)※額代込みのお値段です

 

「やはり金属の中では銅がとても好きです。暖かい上、その特徴的な光の反射の仕方がとても落ち着きます。影もあり、その影の中の構図線も際立って面白く映ります」

 

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作品は、ギャラリー桜の木銀座店、または軽井沢店にてご覧いただけます。
(*軽井沢店は2020年11月24日~2021年4月上旬まで冬季休廊中です)

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