佐々木理恵子 vol.2  “不定形”

2020.9.15

佐々木理恵子 vol.2 “不定形”

*こちらは2020年9月に掲載した記事です

パネルだけではなく、円形、角柱、耳付きの板を使い、独自の箔使いで描く佐々木理恵子。
第2回は"不定形"をテーマにお話しを伺いました。

「掌の花 -花水木-」 
岩絵の具、水干/ブラックウッド 9cm×8.9cm×厚み7.5cm

 

天然木

形や木目、木肌の凹凸の按配を見極めながら選んだ天然木

「日本画はもともと杉の板戸に描かれたり、形にしても扇子など四角いもの以外にも描いてあります。それで別に形は四角ではなくてもいいのではと。はじめは雲の形や卵型などのパネルを自作して描いたりしました」

その後天然木と出会いがあり、屋久杉の古材特集があると見に行ったり、材木屋を見てまわるうちに、こういう素材で描けるのではないかと思ったという。作品の支持体として適うかどうか、木の図鑑で性質を調べ、水分含有量や乾燥年数にも気を配りながら選ぶ。

木に描く

自然のままのかたちの木に描く

「何を描こうか、桜の一枝か、縦にして枝垂れ桜とか・・・」


これは難易度高そうですね、の問いかけに
「そうでもなくて、これは縦にして斜めに何か植物を描くとか、蔦を絡ませるとか…」と、形や木目の表情を見ながら、構図は既に頭の中に。


一つ一つの木の形をよく見て、
「主役の面、ここを見せたいという所を選んで描いています。作品の上の面にも描くのは、その方が立体の面白みが出てくるから」

不定形のパネル

「青竹」日本画 10号(円形)直径53㎝

「大学院生の頃、お寺の格天井に円形の絵を何枚か描いたことがあり、円形の面白さを感じました。お寺の書院の丸窓のイメージで描くこともあります」

「秋の色 Ⅲ」日本画 18cm×74cm

細長い形の特注パネル。「トリミングされたように見え、自然にその周りを想像したくなる」。限られた空間でちらっと見える、「想像力を刺激してくれる形」。

ちぎり箔

不規則に貼り重ねていくちぎり箔の表現


「箔足*がある貼り方は整い過ぎた感じがして」、箔足をなくすために、箔の上に箔を重ね貼りしたのが始まり。四角い金箔をおもむくままに切り、貼っていく。
金と銀の割合の違いで、金箔の色が異なっていろいろな色があることを知ってからは、それを活かして何層にも重ねて貼るようになった。

*箔足・・・四角い箔を並べて貼った時にできる格子状の線、または箔が重なり合う部分。

 

3つの質問

Q.木の形や木目を生かして描く、ちぎり箔でできた景色を生かして描くなど、不定形なものに描くことについてお聞かせください。
A.木にしても、ちぎり箔にしてもムラがある方が面白い、あまりきちんとし過ぎていない方が良いと思っています。私のモチーフの描き方は割ときちんとしていると思うので、それで画面も隅から隅まできちんとしていると面白みがないというか、バランスを考え、少しゆらぎを加えたいと思っています。
木の作品は木のみで世界観ができる。オブジェのような、宝物のような。そのように感じています。

Q.立体に描くときと平面に描くときの違いや面白みなどお聞かせください。
A.平面の作品は、モチーフの周りの空気や光も意識して描いていて、作品に広がりを感じてもらえたらと思っています。
立体に描くときは、そういうことは意識せず、花そのものの生命力、鮮やかさだけを描きたいと。モチーフに焦点を絞って描いています。

Q.箔の魅力とは?
A.箔は特別感、非日常感があると思います。それから、絵具と違って光の影響を受けやすいですね。どのようなライティングをするのか、夕方なのか夜なのか、朝なのか。そういう自分の手とは関係のないところで見え方が変わるのが面白い。光や時間の要素がプラスされて、見え方に違いが生まれるところが魅力です。

 佐々木理恵子 作品 01〜09

4_展示の様子
1_作品
8_アップ
7_アップ
6_ななめ
5_展示の様子
3_分割左
2_分割右
4_展示の様子
1_作品
8_アップ
7_アップ
6_ななめ
5_展示の様子
3_分割左
2_分割右

佐々木理恵子作品01
照紅葉 Ⅰ

技法     岩絵の具、水干/焼桐板
制作年    2019年
作品サイズ  60cm×32cm
額寸     現状額装未
備考     サイン有
価格     ¥400.000(税込価格¥440.000)
【額装について】
額装をご希望の場合は、お気軽にご相談ください。
別途お見積りにて制作いたします。

焼桐の独特の深い色と木目の陰影が、鮮やかな紅葉の色に和らぎを添える。
「以前から描きたいと思っていた黄色い紅葉を、初めて描きました」

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作品は、ギャラリー桜の木銀座店、または軽井沢店にてご覧いただけます。

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