2023.2.28
野依 幸治 vol.1 “絵画探偵”
*こちらは2020年7月に掲載した記事です
いまわたしたちが見ている視線に、別の角度から眺める面白さを見せてくれる野依幸治作品。
今回は野依作品の絵画探偵になったつもりで、アトリエに伺いました。
新作をご紹介いただきます。
「パシャリ」
油彩、砂/キャンバス S6号(41cm×41cm)
大きな窓。
安定した自然光が手に入る北向のアトリエ。
やさしい音楽が流れる静かな空間。
「ただただ描く事が好きです。
平面に関しては色々やってみたいです。
画家というより、絵描きという響きがすきですね」
プロセス
「制作においてモチーフが先行して絵に反映されることはなく、テーマを考えた上で、具体的なモチーフを構築していきます」
構想はパソコンの中に。
下地作り
油絵具にまぜた砂を立たせながら下地作りは全て平滑に。マットな画面作りはハーフトーンの基盤になる。
ハーフトーン
「あまり強い色は使わないです」
安定した彩度が心地よい色調となる。野依絵画の特徴であるハーフトーンの幅は限りなくひろがる。
細部を描く
細部は腕鎮で手首を安定させて面相筆で描く。具象表現が完成に近づく。
平面と立体
「”折り紙”はその名の通り、折ることを前提とした用紙で、当初は平面ですが、折ると立体になります。すなわち立体性を持ち合わせた平面といえます。これを踏まえた上で、絵の平面と折り紙の立体が混在する画面を組み立て、謎解きのようなテーマを決めてモチーフを描きます」
折れ線
平面表現の絵画の中に気になる折れ線。これがキーポイント!
ピアノ
折れ線を忠実に折ってみました。
出来上がりは”ピアノ”
この折り紙をゆっくりと開いてみました…すると
完成~謎が解ける~
なるほど!一目瞭然です。Duo+Solo=Trio・・・ピアニストの登場です。
謎に迫る4つの質問
Q.テーマはどのように生まれますか?
そして今回のテーマは?
A.経験値です。遊んだり、音楽を聴いたり、違うジャンルの人とのコミュニケーションなど、美術以外の日頃のいろんなところから吸収されます。この事から日常生活の中で生まれることが多いです。
今回は子供たちが折り紙を折っていたところからですね。
Q.「日常という現実と絵画という非日常を結ぼうとしている」とお話をいただきました。構想は色々と拡がりますか?
A.❬光と影❭ ❬実像と虚像❭ ❬鏡の世界の 左右、前後、上下方向、4点の方向性❭ など、相反する存在だが、表裏一体ともいえるもの。ものの捉え方は二面性を持ち合わせていて、そこにひとつの事実があります。
今回は ❬平面と立体❭ です。
きれいなものをきれいに描きたいわけではなく、真逆なものをくっつけるのが好きですね。
理論を組み立てて絵として美しく表現出来たらいいかなと。
Q.先生の世界観は、遊び心に満ちていて、ニンマリと楽しむことができます。仕掛けに出会える喜びは、新しい視点をあたえてくれます。
アーティスト、画家、絵描きとして、類をみない存在ですが、先生ご自身としては、しっくりくるのは?
A.自分は何者か?ただただ描く事が好きです。画家というより絵描きという響きが好きですね。
日常の中に潜んでいる面白いと思える事柄を絵を通して提案し、「こんな見方が、あるんだね」と感じてもらえたら嬉しいです。
Q.200年後のご自身の作品を考えることはありますか?
A.先に残すことはあまり考えていないですね。ただ生きている内に、憧れた作家に近づきたいと思います。
いずれ同じ土俵に立ち、彼らがどのような景色を見て感じていたのか知りたいですね。今はこれに近づけるように、描き続けていくことを考えています。
それとやはり現世の方々に自分の絵を共有し、共感を得られることが”絵描き”の冥利に尽きることだと思います。
野依 幸治 作品 01〜09
野依幸治作品01
Duo+Solo=Trio
技法 油彩、砂/キャンバス
制作年 2019年
作品サイズ S10(53cm×53cm)
額寸 55.6cm×55.6cm×厚み6cm
備考 ともシール有
SOLD
「ジャズのレコードジャケットをイメージしたもの。時として一人より二人、二人より三人で、共に音を奏でるのも楽しいことだと思うのです」
このジャズバンドはデュオからトリオへと生まれ変わります。
折り目 : ピアノ
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