ジャン・マリ・ザッキ

2012.8.2

ザッキ先生のパリのアトリエ探訪

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木と花束を描く画家 日本の影響を受けて新たな技法へ

V 今回、軽井沢では2回目の個展なりますが、最初に軽井沢を訪れた印象はいかがでしたか。

ザッキ 前回訪れたのは8年前です。樹木がとても多く、自然が豊かで、とても心地よい場所でした。滞在時間が短かったのが残念です。

V その時に紅葉もご覧になったそうですね。フランスは黄色い紅葉が多く、赤く色づくことはあまりないそうですが、日本の紅葉から何かインスピレーションのようなものはありましたか。

ザッキそれまでは主にブルーとグリーンを使っていましたが、紅葉の色合いや日本人の好む色を知り、少しずつ赤や黄色、オレンジ色などを取り入れるようになりました。画家にとって新しい色を使うというのは大変なことなのですが、日本に多くの影響を受けて、これまで使ったことの色も使うようになりました。

V 大きな変化となりましたね。創作活動の大きなテーマとなっているのは何ですか。

ザッキ 木ですね。ザッキといえば、木、垂直の線、ブルー、グリーンというイメージが強いと思います。木は人間にとって「呼吸」を意味しています。それから花束を描くことも多いですね。日本の生け花も好きですよ。日本で習字を体験して、筆の自由な動きに感銘をうけました。墨の濃淡に影響を受けて、私も刷毛の使い方などを取り入れています。

左:「ありのまま」油彩60号              中:「穏やかな孤独」油彩30号                右:「春の朝」油彩60号

V 日本とフランスで、樹木の違いはありますか。

ザッキ 日本では盆栽のように、木が大切にされています。冬には幹を覆ったりしますよね。フランスでは木がそのまま、自然に生えているままです。かつては植えたものですが、自然のままにあるといった感じ。木の色も違いますし、植え方なども違いますね。

V 8月に軽井沢で行われる個展のテーマはなんでしょうか。

ザッキ テーマは木と花のブーケになりますが、「ジャポニザン」といって、日本から影響を受けた新しい技法を取り入れています。絵の背景は、墨の濃淡のように流動的に、ある部分は透明で、ある部分は不透明に色を置いています。そして「禅」からの影響で、余白を大きくとりました。日本では「沈黙」が言葉でもあります。フランス人はおしゃべり過ぎますが、静けさも言葉であり、静けさの中で理解し合えること、熟慮できることがある。それを感じたことが私にとっては大きな変化でした。

V そうですね。日本では余白が熟慮の場でもありますし、大切にされています。とても日本的なことかもしれません。

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ジャン・マリー・ザッキ来日展   
於 ギャラリー桜の木 軽井沢店
2012年8月1日(水)-8月19日(日) 10:00~6:00 期間中無休
*夜間開廊日 8/11~15は夜9時まで