中西 和 

2019.8.13

つくり手と鑑賞者が絵画を介して共有できる『いい気分』とは

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「いい気分」でいたい

年に一度、展覧会を開催し20年。この間、中西和先生に画廊にてお茶と共に様々なお話を伺いましたが、なかでも印象に鮮やかなのは「マチエール」についてのお話です。

フランス語、MATIÈRE(マチエール)、という言葉は、よく油絵の表面などの”ごつごつ感”とか”滑らか感”とかに対して使われますが、辞書を引くと、材質/材料、素材・材料による美術効果/絵肌感、などといった言葉が出てきます。
この言葉が、もしかしたら、複製ではなく「本物」の表現に触れたときにだけ伝わる「感覚」、それを顕すのに最もふさわしい言葉じゃないかと思う、と教えてくださいました。この言葉によって、美術に関るものとして明確に理解できた気がいたします。

『小説でも、話し言葉でも、”マチエール”はあるよね。この人の伝え方はいいなぁ、とか。気持ちいいなあ、とか。嫌だなあ、とか。人の表現にふれたときの感触、というか。実際のモノの風合い、キメ。音色。
表現というものは、どんなものもマチエールを伴ってしか存在しない。もしかしたら、受け取り手にとっては、描かれた主題よりも、マチエールの方が大きな要素になっているかもしれないと思う。表現の領域では、すべてにわたることのできる大きな言葉。』

中西和「初夏の頃」洗い出し 25×100

中西和「初夏の頃」洗い出し 25×100

 

中西和「艸」洗い出し 60x150.2

中西和「艸」洗い出し 60x150.2

そして、絵画の中で、創り手と鑑賞者が共有する「いい気分」というお話しも。
『花を描いた。絵描きは、こんな空気の中で咲いていてほしい。今度は、リンゴを描いた。仮にリンゴの絵をいいな、と思ってくれる人がいても、リンゴの絵ならどれでも良いわけではなく、このリンゴの絵でなければならない、となる。つくり手はつくり手の気分、鑑賞者は鑑賞者の気分、それがどこかで通じ合う。言葉では確認できない。これが絵画の面白いところであり、楽しいところである。』
『俺はこうだ、こう見てください、は共有されないし、絵は長くつきあうものだから、そういうの共有してないよね。ただ、向き合った情緒だけ。ただひたすらに「いい気分」を絵と、観る人のあいだで共有する、という不思議。特に女の人は、「かわいい!」、とか「かわいくない!」、とか直感的にあるでしょ?つくり手の背景が、偉い人だとかそうじゃないとかでなく。そこが絵画という表現の面白いところかなぁ。』

中西和「秋映え」41×27 「山芍薬」22.3×15.8  「桃碗図」22.7×15.8

中西和「秋映え」41×27 「山芍薬」22.3×15.8  「桃碗図」22.7×15.8

毎年秋恒例の名物展でしたが、「夏のお作品がもっと観たいの」というお声もあり、20回目の今回から開催の時期を夏にお願いいたしました。
第20回「中西和の世界」展 会期は7月26日までギャラリー桜の木銀座にて開催いたしております。

 

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第20回 中西和の世界「夏の季」
於 銀座ギャラリー桜の木
2015年7月12日₍日₎~7月26日₍日₎ 火祝休廊 午前11時-午後7時