阪本トクロウは、発表を開始してたったこの9年の間に一躍衆目の的となったアーティストです。彼の作品は、現代私たちを取り巻く世界の一断面を示してくれます。観る人にとってのイマジネーションの窓。そしてあるときは、観る人の思考を停止させ、静かな休息をもたらす絵画。日本人の誰もが持つ既視感を通して、瞬時に私たちを広い場所へと連れて行くのです。
本展『阪本トクロウ2001-2009』は、過去阪本が発表してきたシリーズを初めて一堂に会するという若手作家としては異例の回顧展となります。
何も描きたいものが見つからなかったとき、その空白を描こうと思ったという初期作品《zoo》《daily life》、クレーンを描いた《風景》、山梨県立美術館で発表された《space》シリーズ、《バード》《山水》、流れ去る時間の風景《呼吸》シリーズ、近作の公園の遊具を描いた《エンドレスホリデイ》最新作《sky》に加え、新たに挑戦した銅版画まで新作、未発表を含む約40点をご覧戴けます。阪本トクロウの独特な“間”がもたらす特別な感覚をどうぞご堪能ください。
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