泉田 之也

2014.3.4

見たことがないのに、どこか懐かしい 土の姿を産みだすひと

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Q. 先生が創りたい!と思うものは、どんなものですか?

A. 地につかないもの、とか、んー、宙に浮いている感じのもの、というとびっくりさせてしまいますかね。

Q. その創作のエネルギー、バイタリティはどこから来るのですか?

A. 押しつぶさそうになるほどの緊張感。私の場合は、幸せ満杯な時よりも、ストレスがあるほど、エッジの効いたものが産まれてくる。我ながら無茶したな、と思うものほどいいものができた、という実感があります。自分が自分で救われたいんです。世の中では仕事自体がストレスです、という人も多いのかもしれませんけど、私にとっては逆で、一個一個つくる毎に、心が穏やかになっていくんです。まぁ、同じものをたくさん作れ、と言われるとキツイですけれど。

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Q. 創る時、作品ができあがっていくときのイメージを言葉にするなら?

A. 指先で“土の粒子が揃っていく感じ”です。この、“粒子が揃っていく感じ”、というのは、伝わりづらいかもしれません。例えば、砂嵐があって、風に舞い上げられた砂が、波紋のような美しい形を一瞬見せてくれますよね、土の粒子が並べられた感じで、形に沿ってすぅーっと最後まで揃いはじめる、形が一瞬留まる感じ。うーん、伝えづらいですね(笑)。

Q. 先生の指先ってどうなっているんでしょうか?人とは違う手なんじゃないかしらと思います。

A. いえ、決して特別な手ではないと思います。普通です、普通。でも手指のほうが、唇よりも繊細ですね。

 

制作の本質に関して、普段あまり深くはお話しにならない泉田先生。以上が『大雪の日画廊における熱燗の成果』でございます(笑)。

質感はどこか弥生時代の須恵器を思わせ、構造は爽快な感覚の挑戦に満ちていて、おおらかさも感じさせる泉田作品。素朴な土の貌と謎めいた構築美で、国内外にファンが増え続けています。

 

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泉田之也展 「1/2Gravity」
於 ギャラリー桜の木 銀座
2014年2月8日(土)~3月2日(日) 火祝休廊 午前11時~午後7時