田中 みぎわ

2018.6.15

自分の中の確固たるイメージと、墨が織りなす偶然性とを対話させていくことが、水墨を描く面白さだと感じています

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紙の探索をして分かったことは、一言でいうと、「昔ながらの手仕事で、できるだけ薬品を使わず、手間隙かけて漉いた紙が一番長持ちする。」ということです。紙の素材には、楮、三椏、雁皮とあり、私は楮の素朴さがとても好きなのですが、紙の探索の過程で、はじめて様々な漉いたままの楮紙に触れて、そのしなやかさ、素朴な風合い、微妙な色合いの違いにすっかり魅せられました。しかしその風合いがドーサを引くことで若干損なわれてしまうと感じたのです。それで、生紙に直接描きたい、と強く思うようになりました。ただそうは思っても、ドーサを引かない紙に直接描いた経験がないので、描き方が分かりません。それで、今まで通り、「直接自然から教わろう」と自然の中でそのまま描くことにしました。これまでは、外でスケッチをして、持ち帰ったスケッチを見ながらアトリエで本画を制作していました。ですが、今は直接風景の中で本画を描いている、ということです。ここ3年位は、窓から湖や海が見える部屋を探して、もしくは水ぎわまで寄って車の中から描いています。木炭スケッチのように野外で描ければ良いのですが、紙が薄いので何度も風に紙をさらわれてしまいました。また、野外だと乾燥が早すぎるとも感じました。というわけで今は、風景の気に入った窓際を、「どこでもアトリエ」にして描いています。

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