岩田 壮平

2022.10.20

花にひそむ、天然の情緒を生け捕る画人

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日が暮れてきたので、深大寺門へ。風情ある坂道を下るとき通るところに、加山又造先生がデザインされた横山操先生の五輪塔の墓碑があり、思わず合掌。横山先生、加山先生、平山郁夫先生が三人並んで深大寺そばを食べてる、ちょっとかわいい写真があるんですよ、なんてお話も。当時の画人は本当に鮮やかで眩しく感じますよね、特に尊敬されている画家さんはどなたですか?とお尋ねすると、「大好きな作家さんは挙げればきりがないですけれど、奥村土牛先生の作品、大好きです。ゆっくりとした筆運びの中に、一筆一筆、臨場感というか、なんというのでしょう、空気の層が織り込まれているような。奥村先生の絵に触れるとそう感じさせてくれる素晴らしさがあって、いつも感動を新たにします。」

左:深大寺門方面へ 右上:横山操先生墓碑 右下:「曼珠苑」でお汁粉をいただく

左:深大寺門方面へ 右上:横山操先生墓碑 右下:「曼珠苑」でお汁粉をいただく

画家への道を最終的に決めた一言となったのは、師・土屋禮一先生の『何とかなる。大丈夫。』。大学院に進む時、画家への道が、けして平坦な道ではなく険しいことに直面した岩田先生は、土屋禮一先生のご自宅を訪ねます。そのとき先生がおっしゃった『だいじょうぶ』という言葉は、理由云々抜きに、ただただ、ストンと胸に納まった一言だったとか。「あ、大丈夫なんだ…(笑)、って。悩んでも無駄だからやってみよう、と。さらに土屋先生は、画家としての使命を持っていて、その人が本当に頑張っているならば、世の中は、ちゃんと背中を押してくれるはず、とも…。お陰で迷いは晴れたし、今の自分があるのはその一言のお陰だと思っています。」

待望の個展が近づいてきました。
「そうですね。今描いているうちの一枚でも、何か元気がでたな、とか感じてもらえる作品が描ければ。それを狙って描くとうまくいきませんが、自然に、おのずと描けたらいいな、と思います」

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岩田壮平出品『UNDER 50』
於 ギャラリー桜の木 銀座
2022年3月5日(土)〜3月20日(日) 火祝休廊 午前11時〜午後7時