ジャン・マリ・ザッキ

2012.8.2

ザッキ先生のパリのアトリエ探訪

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自由な表現とオリジナリティ ディクタチュールとエクリチュール

V フランスの芸術世界の現状はどうでしょうか。

ザッキ 文化省はコンテンポラリー絵画を大切にする傾向がありますが、芸術は自由に表現させることが第一なので、括りを持つべきではないと思っています。ピカソやシャガール、ビュッフェらはみんな一緒に創作していました。お互いに批判し合うことも、争いもなかった。抽象画と具象画といった争いも、昔はそれほどなかったのです。

V ル・サロンの名誉会長をなさっていますが、フランスの文化政策について助言をすることもありますか。

ザッキ もちろん、文化大臣に助言する時もあります。芸術は型にはめず、もっと自由に表現することが大事だと思っています。いくつかのサロンではディクタチュール(自分の思いを貫き表現すること)のない芸術を展示していることがあり残念ですね。若者が描きがたっているのに、そうではない芸術を勧める傾向もあります。絵画は個人の中から出てくるもので、各人が自分のエクリチュール(筆跡)をもっています。ピカソも、シャガール、ビュッフェ自分のエクリチュールを持っていて、彼らの絵をみたら、すぐ誰の作品かわかりますよね。このような自分の個性を持つことが難しいのです。

「日本の個展の初日にお客様が着物を着てきてくださるのがとても嬉しいですね。」

V フランスの若い芸術家たちにアドバイスをする機会も多いのですね。日本では杉野学園ドレスメーカーで客員教授として指導もされていましたが、日本がもっと芸術を愛する国になるにはどうしたらよいでしょうか。

ザッキ 日本はもうすでに芸術を大切にする国になっていますよ。日本で美術館の展示があると、それを見ようと行列ができますが、芸術を愛している国民の表われだと思います。日本は千年以上の芸術の歴史を持つ国ですから、日本で個展を開くと、お客さんが作品の価格だけでない別の側面を見出してくれていると感じています。職人を大切にする国ですから、日本の方に作品を見て頂けるのは嬉しいですね。

V 軽井沢がもっと芸術的な町になるにはどうしたらよいてしょうか。

ザッキ 前回の滞在が短くて、よく町を見られませんでした。その質問の答えは、この夏にじっくり町を見てからお答えしましょう。

V はい、ぜひお願い致します。夏の個展、期待しています。

【軽井沢ヴィネット 2012年下巻より転載】

軽井沢ヴィネット 2012年下巻

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ジャン・マリー・ザッキ来日展   
於 ギャラリー桜の木 軽井沢店
2012年8月1日(水)-8月19日(日) 10:00~6:00 期間中無休
*夜間開廊日 8/11~15は夜9時まで